宮崎といえば、「鶏の炭火焼」「チキン南蛮」など鶏料理が全国的に有名です。
しかしブームになるずっと昔から、県民は鶏料理に親しんできました。
宮崎では戦後、多くの家庭の庭先で10羽程の鶏が飼われていました。
今のように食材が豊富になかったので、当時は鶏肉も鶏卵も田舎暮らしには欠かせないとても貴重なものでした。
特に鶏肉は、祝いの日のごちそうとして食べられていました。
祝いの日は、鶏をさばいてさまざまな鶏料理をつくるようになったのです。
光の国神話の国として脚光を浴びる宮崎の、素朴な中にも豪華さを感じさせる郷土料理を数点ご紹介します。
・鶏わさ・・・新鮮な鶏肉をさっと湯がいて表面だけ加熱して冷水で締め、食べ易い厚みにスライスしていただく
鶏料理です。わさびじょうゆや柚子胡椒などを添えます。
・鶏のたたき・・・新鮮な鶏肉の表面をさっとあぶってスライスした鶏料理です。
鶏わさ同様、わさびじょうゆや柚子胡椒などを添えます。
・宮崎の親子丼・・・宮崎の親子丼は、鶏肉と玉ねぎだけでなく、にんじん・大根・干ししいたけを
干ししいたけの戻し汁で煮て、卵でとじて丼に盛ったご飯の上にのせます。
・都城の雑煮(ぞうに)・・・県西に位置する都城市のお正月の雑煮の具には、鶉(うずら)の卵が使われます。
だしはあご(飛魚)でとったすまし汁で、お餅は焼いた丸餅、具は他に鶏肉・
かまぼこ・焼き豆腐・里いも・しいたけなどが入ります。
・厚焼き玉子・・・県南に位置する日南市の伝統料理です。
1689年から伝わる厚焼きたまごで殿様に献上されました。
玉子を混ぜる時泡立てないようにして七輪の上に載せ、ふたに炭火を乗せて上下から時間と
手間をかけて焼き上げる特殊製法です。今でも祝い事にはかかせません。
プリンのような口当たりと上品な味わいは絶品です。
出来立てより2~3日したほうが味が馴染んでおいしくなるのだとか。
・とり飯・・・季節の野菜や鶏肉を使った炊き込みご飯で、お祝いの時に作られることが多いです。
消防団のまかない飯として、県央に位置する新富町湯之宮地区で受け継がれてきた郷土料理です。
大勢の人が集まるときに大釜で炊かれ、おにぎりでいただいく鶏めしは、香りがよく、もっちもち。
お米ひと粒ひと粒に、しっかり鶏のおいしさが閉じこめられています。