尾長鶏の尾羽はどうして長いの?!

ひときわ長い尾羽(おばね)で知られるのが、高知県が誇る品種の「尾長鶏」(おながどり)です。
尾羽の長さは通常5メートルぐらいで、長いものになると10メートルを超えるものも。
その希少性から国の「特別天然記念物」にも指定されていますが、なぜ尾羽だけが長い鶏ができたのでしょう?

起源は明歴間(1655~1658)にさかのぼります。
土佐国大篠村(現・高知県南国市)に住む、武市利右衛門が飼っていた「小国」(しょうこく)という品種の鶏に
尾羽が生え変わらない雄を見つけました。鶏は普通、年に1回羽が生え変わるのですが
利右衛門の小国のなかに尾羽が抜けずにどんどん伸びる性質の鶏がいたのです。

この珍しい鶏の尾羽はさっそく土佐藩に献上され、大名行列の先頭で振られる「毛槍」(けやり)に用いられました。
長い尾羽で飾られた派手な装飾は「鳥毛」と呼ばれ、他の藩主の羨望の的となり2代目藩主の「山内忠義」は
意気揚々と長い毛槍をたなびかせながら、江戸に旅立ったといいます。

他の藩は鳥毛の正体を知りたがったようですが、土佐藩は尾長鶏の存在を隠し鶏はもちろんその卵さえ
門外不出にしたと伝えられています。尾長鶏はその羽色から「五色鶏」と呼ばれていましたが
明治時代に改良が加えられ、白・黒・緑色の「白藤種」(しらふじ)や茶色の「赤笹種」(あかざさ)
全身純白の「白色種」などが登場しました。
しかし、その頃までは尾長鶏の尾羽の長さはせいぜい3メートル程度だったようです。

飛躍的に尾羽が伸びたのは、大正時代に「留箱」(とめばこ)と呼ばれる飼育箱が開発されてからのことです。
この留箱、1羽ごとのスペースを確保し尾羽が傷ついたり抜けたりしないよう活動を制御して飼育するものでした。
運動のため外に出すときは、飼い主が尾羽を手に持って鶏のあとをついて歩くほどの徹底ぶりでした。
こうした苦労の末に、1年に1メートルぐらいづつ尾羽が伸びる尾長鶏が完成したのです!
たいへんな手間がかかるので、よほどの愛好家でないと飼育は困難でした。

「とり」は「取り込む」に通じることから、集客に繋がり商売繫盛に効果があると信じられています。
この尾長鶏も、商売繫盛に効果があるとされ、新年は玄関に尾長鶏の置物を置くと縁起が良いと言われています。

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