鶏の品種には、食肉の生産に主眼が置かれる肉用品種と、主に卵の生産に重点が置かれる卵用品種、
どちらにも重点の置かれる肉卵兼用品種、こうした食品生産とは無関係に、
観賞用として飼育される観賞用品種の4つの品種群が存在します。
ただし、肉用品種と言えども卵は生み、また卵用品種と言えど卵を産まなくなった鶏は廃鶏として
食肉市場に回されることがあるなど、食料生産用の3品種群においては
それほど明確に区分が設けられているわけではありません。
欧米では、主に肉用や卵用に産卵性や増体性を特化させて飼育されてきた品種が多い中
日本では、観賞用に多くのニワトリを飼育し親しまれてきました。
外観の美しさを重視したものでは、尾や蓑羽が長いもの、色彩の豊かなもの、個性的な特徴をもつものや
さらには鳴き声にも注目し、美しく鳴くもの、長く鳴くもの、変わった鳴き方をするものなどを
選抜して作られた品種を日本鶏(にほんけい)と呼びます。
世界中では素性が不明なものが多くありますが、細分化すると500を上回る
ほどの品種が存在する中、日本鶏は50品種を上回る程度。
日本人は非常に個性豊かな鶏を多数作り出してきたんですね。
代表的な肉用品種のブロイラー専用鶏は、肉付きはよいけど産卵性はよくない白色コーニッシュ種と、
産卵性のよい白色プリマスロック種を交配したものです。
そのため、産肉性と産卵性どちらも上がります。
日本各地で町興しに開発している品種は、その地域の地鶏となっています。
地鶏の肉質は歯応え、コクをよくするため、在来種を中心に
飼育期間をある程度長くして肉用種にしたものが多いようです。
このニワトリとの交配には多くは名古屋コーチンが使われています。
味のよい高級地鶏には、九州南部の薩摩鶏、土佐の尾長鶏、三重県の河内奴鶏(カワチヤッコ)などがありますが
いずれも天然記念物となっているので食べられず、資源保護の対象となっています。
また、世界中で飼育されている卵用鶏は途中海沿岸種とその系統が主流となっています。
明治時代にいろいろな卵用鶏の品種が輸入されましたが、定着したのは白色グレホーンだけでした。
その後、有色卵(赤玉)のイサブラウンやポリスブラウンが広まりました。
歴史的にはレグホーン、ミノルカ、アンダルシアンなどの品種が利用されたもありますが、
現代では経済価値を付加した卵を多産する系統が使われています。
殻の色の純白色の卵は白色レグホーンの系統間交配、殻の色の桜色の淡褐色卵は白色レグホーンと
ロードアイランドレッドや黄斑プリマスロックなどの品種間交配、
赤玉とよばれる殻の褐色の卵はロードアイランドレッドやプリマスロックを基にした系統です。