地鶏はこれまでの鶏肉のイメージと比べたら「硬い肉」で「高価」でしょう。
しかし地鶏はこれまでの鶏肉にはない深いコクと濃厚なうま味を持っています。
それは、戦後まで農家の庭先で飼われ、地面を走り回っていた鶏の味をイメージさせます。
地鶏は「昔の鶏の味がする!」と懐かしむ人も多いようです。
鶏肉でありがら濃厚な味という、古くて新しい価値観。
さらに、健康的で安心感のある食材という魅力で今や地鶏は「ブランド食材」となり消費量も年々増えています。
地鶏の多くは一般に繁殖力が弱く、飼育日数がブロイラーより長くかかるうえに
闘争性が強くて育てにくいという特性があります。
地鶏は「物価の優等生」であるブロイラーに比べて、経済効率が非常に悪いのです。
こうした事情でコスト高になってしまうため、結果として地鶏の肉の価格は
ブロイラーの2倍3倍は当たり前という状況になってしまうのです。
筋肉の成分の違いは、飼育期の環境や運動によって異なります。
運動により筋繊維は太くなり引き締まるので、歯ごたえのある食感をもっているのです。
筋肉のヘモグロビンやミオグロビンは運動により増加するので、肉の色はブロイラーよりも赤みを帯びています。
運動により筋肉にミオグロビン・酵素・グリコーゲンなど代謝に必要な成分が蓄積され
さらには筋肉内の代謝が活発ですから代謝産物も増え風味がよいのです。
こうした地鶏の持ち味を活かすには、鶏肉の部位の特徴を知った上で調理を行う必要があります。
そうでないと、せっかくのすばらしい素材もその質の良さを発揮できずに終わってしまいます。
古くから地鶏は煮物にしてこそその味の魅力を発揮するといわれてきました。
そのうちでも「水炊き」が特にオススメです。オススメの水炊きのレシピをご紹介します。
<オススメの水炊きレシピ>
家族4~5人の場合、1羽分(1キロ)の地鶏の肉を用意します。
①最初にスープをとります。1羽分の胴ガラを適当な大きさに切って水から煮込みます。
煮立ったらとろ火で、2時間ぐらい煮ます。
煮立つとアクや油が浮いてくるのでマメに取り除き最後に布でこします。
②①を湯通しにします。深い鍋に湯を沸かし、そこへ肉を入れます。
沸騰するとアクがでるので取って捨てます。15~30分弱火で煮てから肉を取り出します。
このスープも布でこします。
③胴ガラからとったスープと、肉をゆでたときのスープを適当に混ぜ、土鍋に入れて食卓に出し煮ながら食べます。
野菜は白菜・ねぎ・玉ねぎ・にんじん・しいたけ・なめたけ・豆腐など、適宜にその時手に入る季節の野菜を
使ってください。野菜が煮えたらタレにつけて食べます。
④タレはお好みで、醤油・ポン酢・レモン果汁・しょうが汁・おろし大根・科学調味料などを適当に入れて作ります。
⑤タレ付けの皿はやや深めのとり皿がよく、最後にご飯を食べる時にその残りをご飯かけた
即席雑炊も美味しくいただけます。
※なお胴ガラが手に入らない場合は②からの方法でもよく、歯が悪くて柔らかい肉しか食べられないような方は
このスープならブロイラー肉でも美味しく頂けます。
ただし、ブロイラーのガラでは味が出ないので親鶏のガラがオススメです。